愛ビーチクリーン活動の手紙
拝啓 霜秋の折、貴社におかれましてはますますご発展のこととお喜び申し上げます。
はじめてご連絡させていただきますNPO法人未来育プロジェクト MeLike Projectで理事長を務めている山本美穂子と申します。
当団体は愛媛県松山市北条辻の海岸を中心に、愛媛県が定めるボランティアの愛ビーチ清掃活動をしております。
別団体であるHITキャラクトロジー心理学協会での愛ビーチボランティア活動をあわせますと4年に渡って2キロほどの海岸線のゴミを、犬の散歩がてら40ℓの二つのゴミ袋いっぱいになるまで拾っては帰る作業を続けています。
ゴミ袋ももちろんボランティアですので全て自前で用意しております。
海岸に落ちているプラスティックゴミの全ては、人の手を通して形作られ、
人の手を通して放たれて、海を漂い海岸へと流れついているのを、人の手を使って一つ一つ拾い上げていっています。
この流れつくゴミの中で一番多く目にするものがペットボトルや酒類などの瓶になります。
貴社の商品もまた数多く砂浜に流れ着いており、誰かが作り誰かが飲んで捨てた瓶やペットボトルではありますが、
風雨にさらされてなお、ロゴが消えることなく自然の中に晒されているのを見ると、
やるせない怒りを感じることもしばしばあるのが実情です。
私と同じように全国でビーチクリーンやリバークリーン活動をしている小団体は数多くありますが、
そのほとんどは人々の自然を愛する心により無償で活動を続けています。
4年間の活動を通して、最初は私一人から始まったビーチクリーンでしたが、
1年を超える頃から地域の人々の自主的な想いに支えられ、地域に住む一人ひとりの住民が、
散歩がてらゴミを拾い我が社の敷地内に個人的に備え付けた海ごみ専用のゴミ箱に捨てていってくれています。
大企業の皆様方が大規模なSDGsの活動を大きな団体などに多大なご寄付されていることを知っています。
ただ、小さな団体は日本には数多くあること、目にも入らぬくらいの小さな団体の構成員たちは活動を通して
貴社のブランドを冠したものを捨てられた海洋ゴミとして手に取っていることも事実です。
持続可能な地域社会を巻き込んだ社会奉仕活動の循環の輪の一環として、小規模団体へのSDGsサポートに目を向けていただけましたら、全国の小団体はどれほど救われた気持ちになるでしょうか。
お願いがあります。
叶うことでしたら、各地方の小さな団体にも貴社のSDGs活動の恩恵を受け取ることができるような
小規模の助成金の設立を一度考えていただけないでしょうか。
怒りや悲しみで最後に人の手によって片付けられるこのサイクルを、
感謝の気持ちで拾い上げる人々が増える機会の構築をご考慮いただけますと幸いです。
あつかましい申し出とは十分承知のうえ、誠に恐縮ですが、お力添えいただけますと幸甚でございます。
ご検討のほど、よろしくお願い申し上げます。
敬具
感じた感情を形に、想いを相手へ伝える
2017年から地道に海辺のゴミを一つ一つ拾い上げてきました。
現在では無関心だった地域の方々も心と手を動かしてくださるようになり
海辺は美しい風景を取り戻しつつあり、人が集まる光景も目にできるようになりました。
しかし、その一方でゴミの元となるプラスチック製品の生産はやむことはありません。
自然を愛する心により無償で動いている人々の活動は続いていきます。
いつものように海辺でゴミを拾っていると内側で静かな怒りを感じる私がいました。
そして、今ある感情、想いを一枚の手紙に綴りました。
海辺には、こんなにもたくさんのCMで目にする商品のパッケージが
流れ着いているのが現状です。